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カテゴリー: 計画

市民開発とDynamics 365 Business Central(3)

市民開発とDynamics 365 Business Central(3)

Dynamics 365 Business Central(以下、D365BCと略す) などERPの導入自体としても市民開発を取り入れていく必要があります。D365BCの導入において市民開発が行えると思われるところについて記載しています。

【インターフェース】

ERPと外部のシステム間のインターフェースについては、従来、必ず開発対応になっていたものですが、最近では市民開発でも可能になってきました。

<D365BCから外部システムにデータを受け渡すインターフェース>

いくつかの方法がありますが、D365BCのデータをAzure Data Lakeに格納することが設定により容易にでき、またリアルタイムに近いタイミングで実行可能です。

このAzure Data Lakeからデータを取り出し外部システムにデータ編集やコード変換を行ってファイル連携するのは、DataSpiderやASTERIAなどのEAIツールを利用すれば市民開発でインターフェース機能の作成が可能です。したがって、D365BCから外部システムへのインターフェースはERP導入ベンダーに委託せず、ユーザーにより作成が可能ということです。

<外部システムからD365BCにデータを取り込むインターフェース>

外部システムからデータ編集やコード変換(D365BCに合せた)を行ってAzure Data Storageにインターフェース・データを書き込むところはEAIツールを用いて市民開発が可能です。

Azure Data StorageにインターフェースされたデータをD365BCに取り込む機能については、開発が必要となる場合が多く、これらについてはERP導入ベンダーに委託することになります。

したがって、外部システムからD365BCにデータを取り込むインターフェースについても、かなりの部分を市民開発で作成できるということです。

以下に、概念図を記載いたします。なお、自動化する場合は Power Automateが利用できます。

上述しましたように、D365BCと外部システム間のインターフェースについてもかなりの部分を市民開発で行え、ERP導入費用の中の開発費用を抑えることができるのです。

残る開発では画面機能についてですが、開発で行うかPower Apps で新たに画面を作成することも可能です。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

市民開発とDynamics 365 Business Central(2)

市民開発とDynamics 365 Business Central(2)

Dynamics 365 Business Central(以下、D365BCと略す) などERPの導入自体としても市民開発を取り入れていく必要があります。D365BCの導入において市民開発が行えると思われるところについて考えてみましょう。

【帳票の作成】

最も市民開発を行い易いところとして帳票の作成があります。ここでいう帳票とは、顧客に発行する注文請書や納品書、請求書、仕入先に発行する見積依頼書や注文書などの伝票類を指します。

これらの帳票は当然、D365BCの標準機能として用意されていますが、顧客に指定された書式で出力しなければならない、従来と同様の書式で出力したい、あるいは標準の帳票では出力したい項目が足りていない、などの要求がある場合に、従来は開発を請負って作成していました。

これを市民開発にする方法として、Wordを用いたカスタムレポートレイアウトの機能を利用する方法があります。Wordで書式を作成し、その書式のデータ項目部分にD365BCのテーブル項目を当てはめた設定を行うことで、ユーザーが求める書式での帳票作成ができるものです。

帳票作成のイメージを以下に記載します。D365BCのテーブル項目が英語名でありますが、慣れれば容易に分かります。最初は導入ベンダーの支援をほんの少し受ければ十分にユーザーで可能です。

上記のサンプルは2頁構成になっており、1頁目が注文書、2頁目が自社向けの納品書を出力するように書式を作成したものの頭の部分です。複数頁でセットとなるような帳票でも作成できます。

【レポートの作成】

レポートの作成も市民開発がし易いところです。ここでいうレポートとは、ERPに蓄積されたデータを加工して出力する管理レポート類のことです。

D365BCにも一連の管理レポートは標準機能で用意されていますが、固有のデータを対象に個別の加工を行う管理レポートを作成する要件がある場合は、従来は開発を請負って作成していました。

最近では、Power BI を用いてユーザー自身で作成していただくことが、多くなって来ています。元々、BIツールはEUCツールとして発展して来たものですので、ユーザーが使いこなせるものです。

上述しましたように、帳票やレポートの作成を市民開発で行えば、ERP導入費用の中の開発費用を抑えることができるのです。

 

市民開発とDynamics 365 Business Central(1)

市民開発とDynamics 365 Business Central(1)

DXの進展とともに、「市民開発」の採用が進展しています。「市民開発」とは、IT人材でない業務部門の社員がノーコードツールやローコードツールを用いて業務に必要なシステム開発を行うことです。

業務やニーズが分かっている業務部門自身で開発を行うことで、ニーズにマッチしたシステムが作成できるし、予算不足や人材不足も補えるといった利点があります。これによりDXも進められるのです。

Webで検索するとMicrosoftのノーコード・ローコードツールである「Power Platform」で市民開発を進めている企業としてトヨタ、JR九州、双日、三菱ケミカルの事例がヒットするなど、着実に市民開発が進展しています。大企業と比べて資金力の乏しい中堅・中小企業こそ、市民開発の採用が必要なのかもしれません。

Dynamics 365 Business Central(以下、D365BCと略す) などERPとしても市民開発との連携が進んで来ており、具体的には「Power Platform」との連携が組み込まれています。以下にPower Platformとの連携について記載いたします。

【D365BC の Power Platform との連携】

2つの連携があります。

(1)承認機能での Power Automate 連携

D365BC自体にも見積、受注、発注など取引関係において標準で承認ワークフロー機能が備わっていますが、マスタなどでは承認機能がありません。これらを補えるように Power Automate での承認機能への連携が組み込まれています。

以下は品目マスタ画面に組み込まれた連携機能です。

(2)ダッシュボードでの Power BI  連携

D365BCをログインした際に表示される先頭画面には、取引の概況やダッシュボードが表示されますが、そのダッシュボードの中に Power BI で作成されたレポートやグラフを組み込むことができます。

以下の画面の Power BI 部分に組み込まれます。

<先頭画面>

下にスクロールしたダッシュボード部分は以下の通り。

<ダッシュボード部>

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(8)ツールチップ

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(8)ツールチップ

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

ERPでは機能が豊富で、管理できる情報項目も多いため、メニューやデータ項目が自ずと多くなります。それらの中には、メニューの文言やデータ項目名称自体で分かるものも多いですが、分かりにくいものも結構あります。

このような状況で役に立つのが「ツールチップ」です。マウスポインタをメニューやデータ項目名称に重ねると、ポップアップで説明文が表示されるものです。折角表示されるのですからこの説明文が分かりやすいものであって欲しいものです。

大企業向けERP では、メニューにツールチップはなく、データ項目名称にツールチップがあってもデータ項目名称と同じ文言が表示されるだけで説明になっていないなど、不親切な表示となっています。

一方、中堅・中小企業向けERPのD365BCでは、各画面ともメニューやデータ項目名称にマウスポインタを当てると、しっかりとした説明が表示されます。以下に、画面例を記載いたします。

<メニュー> 赤枠にマウスポインタを当てたところ

<データ項目名称> 赤枠にマウスポインタを当てたところ

特に、ERP導入後の使い慣れるまでの期間においては、このような有益なツールチップは習得の大きな助けとなります。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(7)転記プレビュー

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(7)転記プレビュー

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

ERPでは全ての取引結果が最終的に会計に連携され総勘定元帳に仕訳として計上される仕組みになっています。この仕訳については、どのような勘定科目に計上するかなどのルールを設定しておくことで、自動で仕訳が生成されることになります。仕訳に影響する取引処理は、「転記」処理を行うことで実施されますが、具体的にどのような仕訳が生成されるのかを確認したいときがあります。

大企業向けERP では、一部の会計業務処理を除き「転記」処理の結果を事前に確認することができません。

一方、中堅・中小企業向けERPのD365BCでは、「転記」処理を実行する前に、「転記プレビュー」機能で、事前に自動生成される仕訳の内容を確認することができるようになっています。以下に画面例を記載いたします。

<転記プレビュー機能の操作>

 

<転記プレビューの結果>

 

特に、ERPの導入期間や導入後の使い慣れるまでの期間においては、このような転記プレビュー機能は大きな助けとなります。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

 

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(6)モバイル機能

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(6)モバイル機能

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

Dynamics 365 は、デスクトップPC以外のタブレットやスマートフォンといったモバイル端末で稼働することができます。次のようなケースではモバイル端末での利用が便利でニーズが高いといえます。

・営業マンが社外で受注実績などの実績情報を確認したい

・申請に対する承認などは管理者が職場以外でも行いたい

・入出庫の実績投入などを倉庫の現場で行いたい

この、モバイル端末での利用について大企業向けERP では、全ての機能をモバイル端末用のインターネットブラウザで利用することはもちろん可能ですが、スマートフォンなど小さな画面で表示する場合に、狭い画面幅に納まるように画面表示が行えるモバイル端末専用の機能は、倉庫管理の一部機能や資産管理の一部機能に限定されています。

一方、中堅・中小企業向けERPのD365BCでは、全ての機能をモバイル端末専用の機能で利用でき、次のようにスマートフォンでは画面の横幅に合せて表示されます。以下の例は、受注データの一覧画面です。

大企業向けERPでも、モバイル端末用の専用アプリを拡充していく計画があるようですが、まだこのように一部の機能しか利用できません。この点では、D365BCの方が対応が早いといえます。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

 

 

 

 

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(5)取引先向け帳票のカスタマイズ

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(5)取引先向け帳票のカスタマイズ

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

ERPの導入において、得意先や仕入先など社外の取引先向けに発行する帳票については、帳票のタイトルなどの書式や表示するデータ項目が個々の企業により異なる場合があり、ERPで標準に用意されている帳票では満足できず、カスタマイズが発生しやすいものです。

また、特に得意先については、個々の得意先では指定された書式で発行することが求められることもあります。

上記のようなERPでの帳票の要件に対して、Dynamics 365 では帳票の書式をWordやExcelでユーザー自身が作成して、標準のERPデータ項目を当てはめて設定することでカスタマイズ帳票を作成する機能が用意されています。しかし、大企業向けERPと中堅・中小企業向けERPとでは若干機能が異なり、中堅・中小企業向けERPの方が優れているところがあります。

大企業向けERPでは、カスタマイズ帳票は各業務機能の中から出力できず、帳票出力用のメニューからの出力が必要になります。これに対して中堅・中小企業向けERPであるD365BCでは、得意先ごとにどの帳票フォーマットで出力するかを得意先マスタで設定しておけば、それぞれの業務画面から該当の得意先向けの帳票を出力した際に、自動で該当のカスタマイズ帳票が出力できます。

なお、標準の帳票で出力できないデータ項目についても、小さな開発を行うことでカスタマイズ帳票に出力できます。

下記は、得意先マスタの「テスト株式会社」の帳票を選択設定する画面です。見積書、受注確認書(注文請書)、請求書について、それぞれどの帳票を使用するかを設定しています。仕入先向けの帳票(見積依頼書、注文書など)も同様に仕入先マスタで設定することができます。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

 

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(4)承認機能

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(4)承認機能

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

取引の実施前における承認申請・承認を取り扱う機能は多くのERPで組み込まれていますが、意外と大企業向けのERPでも特にコンプライアンスの強化が必要な購買発注業務に限定しているなど、各業務に承認機能が組み込まれていないものがあります。

D365BCでは、各業務機能に承認機能が広く組み込まれていますので、主要な業務取引では承認機能に別のグループウェアツールやワークフローツールなどを利用することなく、D365BCの中から承認申請を行い、上位者の承認を得て取引を先に進めることができます。以下に画面例(販売見積の承認申請)を掲載します。

D365BCで承認機能が組み込まれている業務としては以下の通りです。

販売管理:販売見積、販売注文、販売請求、販売返品注文、販売訂正伝票

購買管理:購買見積、購買注文、購買請求、購買返品注文、購買訂正伝票

会計管理:一般仕訳帳、入金仕訳帳、支払仕訳帳

 

なお、別途、PowerAutomateと連携した承認の機能が用意されています。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(3)取引先への帳票送付

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(3)取引先への帳票送付

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

顧客への見積書、受注確認書(注文請書)や請求書、仕入先への発注書などの取引先への帳票の送付については、効率化を進めやすいところです。FAXや郵送をやめてPDF帳票の添付メール送信に切替えることで業務効率化が行えます。

大企業向けのERPでは、意外と取引先へのメール送信機能が用意されていないのですが、D365BCでは機能が備わっています。

得意先マスタや仕入先マスタに登録されたメールアドレスに対して、メール送信が簡単に行えます。

たとえば、仕入先Aへの部品の発注データを「購買注文」で登録したらその画面から、「送信」機能を使えば注文書がPDF化され所定のメールアドレスに添付メールとしてメール送信することができます。

帳票のPDF化やメーラー機能の利用を別途行うことは必要なく、D365BCの操作だけで簡単に行えるのです。以下に画面例(注文書の送付)を掲載します。

このような機能は、顧客に対しては見積書、受注確認書(注文請書)、請求書を送信できます。仕入先に対しては、見積依頼書、注文書を送信できます。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(2)繰返注文機能

Dynamics 365 Business Centralの優れた機能(2)繰返注文機能

 

Dynamics 365 Business Central (以降、D365BCと略す)は中堅・中小企業向けのERPでありながら大企業向けERPよりも優れた機能が備わっています。そのようなD365BCの優れた機能をいくつか紹介しています。

定期的に同じ品目を同じ個数受注や発注するなど、良く取引される品目についてあらかじめ登録しておくことで、受注や発注の登録の際にそれらを選択して明細行に展開することができます。これにより、入力の負荷や入力間違いを軽減できます。

たとえば、品目Aを100個、品目Bを150個、品目Cを200個、・・・というセットでの受注が頻繁に発生するとします。このような時に「繰返販売ライン」の機能にて、品目Aを100個、品目Bを150個、品目Cを200個、・・・というセットの受注明細ラインを登録しておきます。

そして、顧客S社からこのセットの受注があった際に、受注登録を行う「販売注文」で先ほどの繰返販売ラインのデータを取得して明細行に展開することが容易にできます。以下に画面例を掲載します。

勿論、一部の品目で数量が異なる場合は上書き修正が出来ますし、一部の品目を削除したり追加したりも出来ますので、標準的な品目・数量で「繰返販売ライン」を登録しておけば、利用度を高められます。

「繰返販売ライン」と同様に発注データの登録で利用できる「繰返購買ライン」があります。使い方は「繰返販売ライン」と同様です。製造部品のBOMの構成品の発注の場合などで大いに役に立ちます。

このような繰返注文のラインを使用するほか、受注データや購買データのテンプレート(雛形)を登録しておいてそのテンプレートを活用する方法もあります。特に大企業向けのERPではこのようなテンプレート機能の利用が中心ですが、D365BCではテンプレートでの利用のほかにこのような繰返注文のライン機能も合せて使えるようになっていて選択肢が広がっています。

ERPの導入をご計画の際は、是非、D365BCをご検討ください。